Z世代について話題が尽きない昨今、Z世代以外の氷河期世代や団塊世代など他の世代も改めて注目されるようになってきました。その背景として、組織やチーム内での世代間ギャップに悩んでいる方が多い、ということが挙げられます。
今回は、世代間コミュニケーションの基本的な定義と、現代のビジネスシーンでの課題、社会的背景、解決のための具体的な方法についてご紹介します。
世代間コミュニケーションとは、育った時代の社会情勢や教育環境、技術革新の背景が異なる人々が、互いの価値観や行動様式の違いを越えて意思疎通を図ることを指します。具体的には、バブル世代、氷河期世代、ミレニアル世代、そしてZ世代といった、現在同じ職場で働く多様な層が対象となります。また、世代の表現としては、X世代、Y世代、Z世代と呼ぶこともあります。
かつての日本型雇用では、年功序列や終身雇用を前提とした同質性の高いコミュニケーションが一般的でした。しかし、現在はジョブ型雇用の導入、テレワークの普及、副業の解禁など、働く目的やスタイルが多様化しています。この変化によって、仕事に対する価値観のズレが生じています。
次に、職場で発生する具体的なコミュニケーションのトラブル事例をもとに、その根本にある意識の相違について確認していきます。
大きな違いの一つが連絡手段の優先順位です。ベテラン層は「確実性」や「誠実さ」を求めて電話や対面を好む傾向にありますが、若手層は「効率性」から、チャットやメールを優先する傾向があります。この認識の相違が、お互いに「失礼だ」「非効率だ」と感じるストレスの原因となっています。またZ世代をはじめとする若手層は「相手の時間を奪わない配慮」からメールを選択している傾向もあり、相手のことを考えての行動、という場合も多いようです。
「定時で帰ること」や「有給休暇の取得」に対する感覚も大きく異なります。自己犠牲を厭わず会社に貢献することを美徳としてきた世代と、プライベートの充実を重視する世代の間で、モチベーションにズレが生じています。また、十分な休息をとることが仕事のパフォーマンスに直結すると感じている人も多く、そのため定時で帰る選択をすることもあるようです。
上司が良かれと思って行った厳しい指導が、若手社員にとっては過度なプレッシャーやハラスメントと受け取られるケースが増えています。人によって、成長のために必要な負荷は異なると思いますが、現代のベテラン世代と若手世代では、負荷に対する捉え方が大きく異なるようです。上司からすると「自分が若い時はこのくらい当然だった」「叱られたことで身に染みて成長できた」といった経験からくる考え方があると思います。Z世代をはじめとする若い世代では、このような負荷をハラスメントと捉える場合があるようです。
多くの組織を見てきた経験から言えるのは、コミュニケーション不全の多くは「自分が正しい」という信念の衝突から起こるということです。相手の行動を単に「能力不足」や「態度の悪さ」と決めつける前に、その行動の裏にある「背景となる価値観」を想像する必要があります。ベテラン世代から若い世代へ理解を示すだけでなく、若い世代からベテラン世代へ歩み寄り、世代間の相互理解を深めることが、問題の長期化を防ぐ最善策となります。
次に、労働に対する価値観や情報に対する態度による、世代間の価値観の違いについて、どのように異なっているのかをご紹介します。
近年の意識調査では、若手世代ほど「社会貢献」や「自己成長」を重視し、ベテラン世代ほど「組織への忠誠」や「給与の安定」を重視する傾向があるといわれています。これらの価値観は、その世代が社会に出た時の経済状況に強く影響されていると考えられます。わかりやすい例として、就職氷河期世代では就職時に大変な思いをした、という背景が価値観に影響を与えています。
世代間ギャップは単なる年齢の差ではなく、その時代特有の「情報に対する態度」の差であると論じられることがあります。SNSの普及以前と以後では、情報の真偽を判断するプロセスや、人間関係の構築方法に根本的な違いがあることが指摘されています。インターネットが普及したことにより、中央集中的な大衆文化が徐々に薄れていき、ロングテールと呼ばれる細分化が進みました。これにより、情報のサイロ化、小規模コミュニティの発達が起き、Z世代や若い世代はその中で学生時代を過ごし、価値観を育んできたという背景があります。
現場で今日から実践できる、コミュニケーションの質を改善する方法をご紹介します。いくつか具体的な方法をご紹介しますので、取り組めそうなものから試してみましょう。
自分の常識が唯一の正解ではないと自覚することはとても重要です。「なぜ自分はこう感じるのか」「相手はどんな前提で動いているのか」を客観的に観察するメタ認知の視点を持ちましょう。メタ認知ができると、日々の対応について一旦客観的に見るというステップが挟まりますので、反射的に誤った対応をすることを防ぐのにも役立ちます。
相手の話を途中で遮らず、最後まで聴く姿勢を示します。特に若手社員に対しては、意見を否定せずに受け止めることで「この場所では発言しても大丈夫だ」という心理的安全性を醸成することが不可欠です。「何を言ってもだめだ」「どうせ聞いてもらえない」といったネガティブな感情を持つと、コミュニケーション自体が減り悪循環に陥ってしまいます。まずは最後まで聴く、ということを心がけてみましょう。
「言わなくてもわかるだろう」という期待を捨て、指示や依頼の背景を言語化して伝えます。なぜそれが必要なのか、どのような影響があるのかを共有することで、解釈のズレを防ぐことができます。特に若手社員は社会人経験も浅いため、日々の様々な業務において「なんのためにこの作業をしているのだろう」と疑問を持つことも多いです。背景を丁寧に説明することで、その業務に対する取り組み方が変わってくることもありますので、前向きに
取り組んでみましょう。
昨今、若手がベテランに最新のITスキルやトレンドを教えるという機会も増えてきました。このような取り組みは、上下関係を相対化しお互いのリスペクトを生む有効な手段の
ひとつです。一方的に教えるのではなく、教える・教わるの関係を循環させることで良好な関係性を築きます。社内の知識・知見が循環し、さらにコミュニケーションにおいても良い影響があるという一石二鳥の取り組みとも言えます。
手法や価値観が違っても、向かうべきゴールが同じであれば協力は可能です。チームの存在意義や達成すべき目標を頻繁に確認することで、ベテラン・中堅・若手の全階層で、それぞれの持ち味を生かして目的に向かうことができます。確認を相互に行うことができれば、自分と違う世代がどのように目的に向かって努力しているのか、なぜその方法を選ぶのかをロジカルに理解できます。些細な違いよりも「大きな共通点」に目を向ける文化を作ります。
個人の努力を組織的な成果に繋げるための、外部研修の活用ポイントやその効果について学びます。
話し方のテクニックを学ぶだけの研修では、根本的な解決には至りません。異なる価値観を「多様性」として受け入れる「マインドセット」の変化を促すプログラムを選ぶことが、長期的な改善に繋がります。世代間ギャップを解消するのに、コミュニケーション研修だけではやや不足していると考えられます。
研修の中でも、全世代が参加するタイプの世代間の相互理解研修では、互いの苦労や価値観を共有した結果、若手の「放置されている」という不満と、ベテランの「どう接していいかわからない」という不安が解消されたというケースがあります。研修を単なる知識の補填ではなく、交流の場として捉える方法も有効と言えるでしょう。
研修での気づきは、日常の業務に戻るとすぐに薄れてしまいがちです。定期的な1on1ミーティングの実施や、コミュニケーションの改善を評価制度に盛り込むなど、継続的な仕組み作りがセットで必要となります。
この記事では、世代間コミュニケーションの問題点とその背景、そして具体的な解決策について解説しました。
世代間ギャップは、決して排除すべき悪ではありません。異なる視点や価値観が混ざり合うことは、組織にとってイノベーションの源泉となります。大切なのは、相手を「わからない存在」として遠ざけるのではなく、対話を通じてその背景にある物語を理解しようと努めることです。
一人ひとりが「違い」を認め合い、歩み寄ることで、より強固で創造的なチームを築くことができるでしょう。
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