OJT指導者研修 -部下を育成・指導するスキルを向上させる-

OJT(職場内訓練)は、日常業務の中で新人・若手を確実に育成していくための、実践的な教育手法です。しかし実際には、現場で忙しさに追われる中、指導が個人頼みになったり、思うように育成が進まなかったりと、現場任せでは成果が安定しないケースが少なくありません。だからこそ、場当たり的な対応ではなく、育成計画に基づいたOJTを体系的に進めることが欠かせません。計画的なOJTが機能すれば、担当者が安心して業務を任せられるだけでなく、部署全体のスキル向上や職場力の強化にもつながります。

 

本研修では、育成計画に基づくOJTの進め方と、業務を教える、指示・依頼をする、ほめる、注意する、叱るといった、部下とのコミュニケーションの取り方について体系的に学び、現場の指導力を高めながら、人材が着実に育つOJTの実践スキルを身につけていただきます。 

 

研修概要

OJTを行う方向けに、部下の育成・指導の仕方について学んでいただく研修です。部下を育てることの重要性を理解した上で、育成計画の立て方や、業務の教え方、指示・依頼の仕方、ほめ方、注意の仕方、叱り方といった、管理監督職に求められる部下に対するコミュニケーションの取り方についても学んでいただきます。[目安: 67時間]

 

カリキュラム

.OJTの重要性

OJT(職場内訓練)は、日常の業務を通じて人材を育成する最も基本的な手法です。本研修ではまず「新人・若手を育てることが組織にとってなぜ重要なのか」を明確にすることからスタートします。新人・若手の成長は単に本人のスキル向上にとどまらず、上司自身の仕事が楽になる、組織としての人材レベルが向上するなど、多くのメリットを生み出します。つまり、育成は組織の成長そのものに直結する取り組みなのです。ここでは、計画的にOJTを行うことの重要性を改めて確認していただきます。

 

.計画的に育成する

効果的なOJTを行うためには、まず部下の現状を正確に把握し、そのうえで育成計画を策定することが必要不可欠です。現時点でできること・不足していることを整理し、「いつまでに何ができるような状態を目指すのか」を具体的に設定します。その到達すべき水準に向けて、誰がいつどの業務を指導するかを明確にし、実行可能な計画に落とし込むことがポイントです。ここでは、実際に自身の周りにいる若手を想定して、育成計画書を作成する演習を通じて、計画的な育成の進め方を体感していただきます。

 

.業務を教える

業務を教える際には、単にやり方のみを伝えるだけでは十分とは言えません。部下が意味を理解し、自立して業務を進められるようになるためには、まず業務の目的や全体像を共有することが重要です。また口頭説明だけでなく、実際に見せながら教える、あるいは部下にやってもらいながら指導するなど、体験を伴う教え方が効果的です。さらに業務の背景や手順がきちんと理解できているかを適宜確認し、相手の習熟状況を把握しながら進めることが求められます。このような効果的な教え方について学んでいただきます。

 

.指示・依頼をする

指示・依頼をする際に重要なのは、部下の状況や気持ちに配慮しながら伝えることです。相手の状況を考えずに次から次へと指示を出してしまうと、負担感が増し、モチベーション低下を招くおそれがあります。特に負担の大きな業務を任せる場合は、「あなただからこそ任せたい」という意図を明確に伝え、信頼を示すことが大切です。こうした一言は部下の意欲を高める大きな要因となります。ここではさらに指示・依頼を出す際のポイントを学んでいただき、日ごろ部下に指示・依頼をするうえで工夫していることをグループで共有していただきます。

 

.ほめる

誰でもほめられると嬉しいものですが、「ほめる」効果は単に相手を喜ばせるだけではありません。部下のモチベーションが高まる、上司への信頼感が深まる、チーム全体の雰囲気が良くなるなど、組織にとって多くのメリットをもたらします。とはいえ、いざほめようと思っても、「部下のどこをほめるればいいかわからない」と感じることもあるでしょう。ここでは、部下をほめるための視点や、効果的に伝えるためのテクニックなどを学んでいただきます。

 

.注意する

部下を指導するうえで、時には注意しなければならない場面もあります。しかし、注意することはネガティブに捉えられがちです。また、強い言い方をしすぎてしまい、過度に精神的なダメージを負わせることは避けなくてはなりません。まずは、「注意することの目的は部下の成長を促すこと」という原則を改めて認識していただきます。そのうえで、相手を否定するのではなく、前向きに部下の行動を改善へと導くための注意の仕方をお伝えします。

  

 .叱る

注意する以上に難しいのは叱ることです。部下が望ましくない行動を取った場合には、上司は厳しく向き合う姿勢が求められています。しかし、ここで重要なのは、感情にまかせて怒るのではなく、相手の成長を願って叱る姿勢です。叱るべきかどうかの判断は難しいものですが、演習では自分の「叱る基準」を改めて整理していただきます。また、二人一組になって、叱る場面を想定しロールプレイングを行い、職場でいかせる実践的なスキルとして身につけていただきます。

 

.現場で実践すること

研修で学んだ事は、実践で活かしてこそ意味のあるものとなります。この 研修の総括として、研修での学びを現場でどのように活かしていくかをご自身で考えていただきます。

 

OJT指導者研修(6~7時間)

.OJTの重要性

-部下が育たないと組織はどうなるか-[ディスカッション]

1.OJTとは 

2.部下を育てることのメリット

 

.計画的に育成する

1.部下の現状のスキルを把握する

2.部下の理想の状態を明確にする

3.育成計画を立てる 

・いつまでに ・何を

-部下の育成計画を立てる-[個人ワーク/グループ共有]

 

.業務を教える

1.目的や全体像を伝える 

2.見せながら教える

3.させながら教える 

4.マニュアルを活用する

5.理解度を確認する

-業務を教える際に工夫していること-[ディスカッション]

 

.指示・依頼をする

1.「任せる」と伝える

2.背景や全体像を伝える

3.報告・相談をさせる

-指導する際に工夫していること-[ディスカッション]

 

.ほめる

1.ほめられることによる効果 

2.ほめる視点

3.良いところを探す

-部下の良いところを洗い出す-[個人ワーク]

4.ほめるテクニック

-お互いにほめ合い、どのように感じるか-[ペアワーク]

 

.注意する

1.注意する目的は部下の成長

2.肯定的な表現を使う

3.注意する際のポイント

-否定的な表現を肯定的な表現に変える-[個人ワーク]

 

.叱る

1.叱る目的は部下の成長 

2.叱ると怒るの違い

3.叱る際の注意点 

4.叱った後のフォロー

-上司役・部下役に分かれ叱る練習をする-[ペアワーク]

 

.現場で実践すること

 

ー今後実践することを考えるー[個人ワーク/グループ共有]

受講者の声・感想

・部下への指導方法等について、これまで、見て学ぶことや自分の体験を基にすることが中心だったため、今回、体系立てて学ぶことができ、大変参考になりました。今後の指導に活かしていきたいと思います。

 

・ワークの機会が多くあり、座学で得た知識を直ぐに確認することができた。また、ワーク後に「発表→講師の話」があったことで、他の人の考え方・手法をふまえ、自身の考え方・やり方を見直すことができ、非常に勉強になりました。

 

・部下の指導・教育について意識的に取り組めていない内容が学べ、さらに実践練習もできたことは、今後の参考になり有意義でした。部下に指示する際は、その他の作業でも応用が出来るよう、理由や背景などを伝えるとともに、部下の目標達成に向けて手助けが出来るよう、心掛けたいと思います。

 

・部下への接し方・指導方法等について、自分で考えているものだけでなく、講義で様々な方法を聞くことができたことや、ペアワークやグループワークを通じて他の受講生の考え方を聞くことができたことは、大変有益でした。

 

・自分の普段の指導やOJTを見直すことができました。自分自身がこれまで実践してきたOJTについて、改めて認識を深めるとても良い機会になりました。

 

・実施前は、グループワークやペアワークが不安だったが、やってみると楽しかった。演習も交えていてより具体性があり、大変勉強になった。

 

・新人教育だけでなく、今後、役職が上がり管理職になっていく準備としても非常に参考となる研修内容で、受講して良かったと感じております。部下職員、後輩職員と仕事をする上で意識すべきことを学ぶことができました。これから業務を行うなかで、本研修で学んだことを活かしていきたいと思います。

 

・OJTを学び、自身が行っていたことが場当たり的であったことを認識しました。

ペアワークを通じて指導される側を体験したことで、今後、計画をもって育成をする意識を持って、部下を指導していきたいと思える有意義な研修だったと思います。"

 

・職場内での研修を初めて受講したため、他の職員との交流ができてよかった。その中で、はじめて部下を持った方の話も聞けたり、OJTの経験がある方からはOJTをするにあたり工夫されている点などの情報共有ができたことが参考になった。

 

・座学とワークがちょうどよいバランスで構成されていたと思います。なんとなくやっていたようなことでも、理論的に説明いただき、腑に落ちました。自身のできていないところが確認できたのでとても良かったです。

 

・部下の指導、とりわけ新規採用者の指導については、どのようにすれば良いか分からなかったので、とても参考になった。質問する、褒める、話をしっかり聞く、引き出すといったことを実践していきたい。また、他の方とも意見交換が出来る貴重な機会となった。参加して良かった。

 

・グループワークを通じて、OJTで他の職員が工夫している点が知ることができ、気づきを得られる機会が多くありました。部下との接し方を振り返り、今後心がけたいことなどを考える非常に良い機会となりました。

 

・他部署の方とも意見交換をできた場は非常に有意義と感じました。また、お互いに意見を言い合うカリキュラムは他の方の意見も非常に参考になりました。

 

・本研修は研修生同士の演習があり、同じように若手の育成で悩む職員の様々な苦労や多様な考え方を聞くことができ、凝り固まっていた自身の考えがほぐれるような感覚がありました。日々業務やプライベートが忙しい中でも、バランスよく時間を配分して若手の職員とも関わっていければと思いました。

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