私たちは日々、さまざまな判断を下しながら生きています。朝起きて何をたべるのか、何を着ていつ出発するのか、どのルートを通り、どこへ行くのか、と日々なにげなく行っていることでも、人はその都度判断をしているのです。1日で行う判断の数は3万5000回とも言われています。些細なものから人生を左右する大きなものまで、判断の積み重ねによって人生は作られているのです。
では、良い判断をするための「判断力」を高めるためにはどうすればよいのでしょうか?
今回は判断力を高めるための実践的な方法を、4つのカテゴリーにわけてステップ形式でご紹介します。日常的に取り入れやすく、特別なスキルがなくても始められる方法ばかりですので、参考にしてくださいね。
良い判断は、正しく情報を整理できてこそ下せるものです。現代は情報過多の時代であり、多くの情報を「うのみにする」のではなく、「どう扱うか」が判断力の土台になります。
Step1:事実と意見を分けて考える
たとえば「この商品は人気がある」という一文があります。この「人気がある」は「事実」でしょうか?それとも誰かの「意見」でしょうか?事実と意見では大きな違いがあるのです。「本当にそうか?」「その根拠は?」という目線で「事実」と「意見」を見分けるクセをつけましょう。
Step2:5W1Hで情報を整理する
誰が(Who)/いつ(When)/どこで(Where)/何を(What)/なぜ(Why)/どうやって(How)
この6つの問いを使うと、情報が分かりやすく整理することができます。
Step3:要点を3つにまとめる練習をする
情報が多すぎると判断が鈍ります。日ごろから「この話のポイントは何か?」と考え、ポイントを3つに絞って考えましょう。プレゼンでも会議でも、この習慣は大きな武器になります。
人は感情に流されて判断を誤ることがあります。一時の怒りや不安で、大きな決断をしてしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。
Step1:一晩寝かせてから決める
すぐに決めなくてもいいことは、時間をおきましょう。睡眠をとると脳が情報を整理してくれます。翌朝には冷静になっていることも多いものです。
Step2:「他人ならどう助言するか?」を考える
自分のことは客観的に見にくいものです。でも、友人に相談されたと仮定して考えると、不思議と冷静な判断ができることがあります。
Step3:思考のクセを見直す
たとえば「損をしたくない」と思うと、失敗を恐れて何も選べなくなります。(これを『損失回避バイアス』と言います。)「なんでそう思うんだろう?」と、自分の思考のクセに気づくことが大切です。
判断力がある人は、視野が広く、選択肢を多く持っています。「AかBか」ではなく、「A、B、C、D・・・他にも?」と考える力を育てましょう。
Step1:まず仮説を立ててから情報を集める
「きっとこうだ」と仮説を持つことで、情報の精度が上がります。受け身で情報を集めるのではなく、目的を持って探すことが大切です。
Step2:最低3つの選択肢を出す
何かを決めるときは、「最低でも3案出す」ことをルールにしてみましょう。意外な案が見えてきて、判断の幅が広がります。
Step3:最悪と最良のケースを想像する
「この選択で一番悪いことは何か?」「うまくいった場合は?」と両極を想定することで、現実的なリスクと可能性が見えてきます。
自分ひとりで考えていると、どうしても視点が偏りがちになります。周囲の人の意見やフィードバックをうまく活かすことも、判断力を高めるうえで欠かせません。
Step1:信頼できる人に相談する
「話すと頭が整理される」信頼できる相手がいるはずです。人に話すことで、自分の考えも客観的に見えてきます。
Step2:あえて反対意見を探す
自分とは違う考えに触れるのは不快に感じることもありますが、それが思考の広がりになります。「なぜその意見があるのか?」と考えるクセを持ちましょう。
Step3:自分の思考を俯瞰する
「今自分はこう考えているけど、果たしてそれは妥当か?」と、一歩引いて自分を見る視点を持つと、判断ミスが減っていきます。
判断力は、生まれつきの才能ではありません。情報の整理、感情との距離、選択肢の持ち方、他者の視点、これらを少しずつ意識するだけでも、日々の判断の質が大きく変わってきます。
「判断力」は、今日からでも鍛えられるスキルです。まずは、ひとつのステップから日常の中で実践し、判断力を高めていってください。